太田ジオメールマガジン[212]~熊本地震被災者への貢献、の巻~

梅雨真っ盛り。梅雨には必ず斜面崩壊が起きます。災害にしない努力をしましょう。

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━ Vol.212 ━ 2016.6.22━

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┃★専門士業熊本ワンパック住民相談会
┃  熊本地震の被災者のところに専門士業が訪ねて行って相談会を開きました。
┃★熊本地震での谷埋め盛土被害
┃  熊本南工業団地の谷埋め盛土の滑動崩落現象見てきました。
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■専門士業熊本ワンパック住民相談会
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阪神・淡路まちづくり支援機構という団体があります。弁護士・税理士などの
「士業」が災害の時に力を合わせて被災者支援しようという「サムライ」達です。
言うまでもなく、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにして創られた団体です。

阪神・淡路まちづくり支援機構
http://sienkiko.blog103.fc2.com/

6月10日から12日までの3日間、太田ジオから2名(太田英将・川浪聖志)が技術
士として参加してきました。詳しい報告は、下記に掲載していますので、興味が
あればご覧ください。

技術士会向け報告書
http://toshisaigai.net/event/20160610kumamoto.pdf
NPOニューズレター37号
http://toshisaigai.net/newsletter/newsletter037.pdf

専門技術者が被災直後にどのように貢献するかというのは、口で言うのは簡単で
すが、実際に何をするかは難しいものです。

参加した専門士業は、弁護士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書
士、行政書士、技術士、建築士の8業種でした。(技術士を除く7業種は、業務
独占資格ですが、技術士は名称独占のみです)

被災者の悩みは多岐にわたり、特に今回は地盤問題があったので技術士に参加要
請がありました。実際、地盤に関する相談が多く、建築士や不動産鑑定士さんな
どと一緒に相談に乗りました。

専門家が災害時に貢献することのひとつの典型的な形となると思います。専門家
の専門領域は狭いので、束にならないと役に立たないということでもありますが。。。

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■熊本地震での谷埋め盛土被害(熊本南工業団地)
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熊本地震では、谷埋め盛土の変動が家屋を壊した例が多かったと聞いていますが、
相談会に忙しくてそれを確認することはできませんでした。

その代わりに、工業団地で起きた谷埋め盛土の被害を見てきました。熊本南工業
団地です。典型的な盛土の地震時変動でした。

熊本南工業団地での谷埋め盛土被害写真
http://www.ohta-geo.com/kumamoto01/20160612kumamotominami.pdf

釜井先生が京大防災研のページで公表されていましたので、御船町相談会に行く
前に見てきたというわけです。ここは熊本空港の管制域ではないので、ドローン
規制もありませんでした。

谷埋め盛土における被災状況(京大防災研)
http://landslide.dpri.kyoto-u.ac.jp/morido2.pdf
(編集後記)
熊本地震の被災地に、梅雨の雨が激しく降っています。社会科学的には被災者の
方々にさらなる試練を与えているので、何とか救済の方法を考えねば、、、とい
うことですが、自然科学的には「こうやって地形は形成される」というプロセス
を見ていることになります。住みやすい場所と安全な場所はトレードオフである
ことが多いので、永遠に解決されない問題かもしれません。
専門士業熊本ワンパック住民相談会では、技術士も業務独占資格にならないと話
にならないと感じました。中堅以上の建設コンサルさんの企業内技術士が、こう
いう活動に参加できないのは、業務独占権のない「名ばかり士業」だからです。
とはいえ、日本技術士会が積極的に業務独占資格化に動くかというと、ほとんど
絶望的です。出身母体の大手建設コンサル経営陣及び株主にとってメリットがな
いからです。(H.O)