太田ジオメールマガジン[211]~熊本地震、の巻~

◆太田ジオメールマガジン第211号!!!◆

連休ももうじき終わり本格的な事業年度の始まりですね。

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━ Vol.211 ━ 2016.5.6━

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┃★熊本地震ドローン映像
┃  熊本地震のドローン空撮映像のご紹介です。
┃★市民フォーラム in 大阪のご案内です
┃  5/28に大阪で開催される防災の市民フォーラムの案内です。
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毎日のブログ     http://blog.livedoor.jp/ohta_geo/
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■熊本地震ドローン映像
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斜面構造物の点検業務用に購入したドローン(ファントム4)でしたが、初仕事
が熊本地震の空撮になりました。

当社の美馬君が、4/23-24日に土木学会斜面工学研究小委員会の調査団員として
現地に行きました。そこで、ドローンを使って空撮してきた映像を、YouTubeに
アップロードしましたのでご覧ください。災害調査では、足を使って発生源まで
登るのが基本ですが、それができないケースもありますので、今後ドローンの活
躍の場面は広がると思います。

【熊本地震】阿蘇大橋付近の斜面崩壊

【熊本地震】南阿蘇村高野台地区(京都大学火山研究センター付近)の地すべり

土木学会では、4月27日に東京で速報会を開催しています。その際の発表資料が
HP上にアップロードされていますので、参考になると思います。

平成28年(2016年)熊本地震 地震被害調査結果 速報会
http://committees.jsce.or.jp/eec2/node/76

益城町では、宅地の被害が顕著でした。当NPOが深く関わった宅地造成等規制法
の2006年改正では、谷埋め盛土の地震時滑動崩落に対する防災が盛り込まれまし
たが、今回も宅地盛土の被害は顕著だったようです。

家屋の倒壊は、新耐震以前のものが当然多かったのですが、新耐震以降のものも
かなり倒壊していました。2000年以降の新新耐震以降のものも含まれていたかも
しれません。これらが、家屋の構造の問題で倒壊したのか、地盤の滑動崩落等の
影響で倒壊したのかは、今後の詳細な調査を待たないとわかりません。

これまで公表されている大規模盛土造成地の変動予測事業において、第2次スク
リーニングまで終わったところもありますが、現時点では危険な盛り土は全国で
「ゼロ」箇所です。ところが、震度6以上となった阪神・淡路大震災、中越地震、
中越沖地震、東日本大震災、そして熊本地震においては、例外なく相当数の盛土
が崩壊(滑動崩落)しています。印象としては全盛土の半数は滑動崩落現象を発
生させたと思われます。

実現象は約半数が滑動崩落し、変動予測事業では滑動崩落の危険箇所はゼロです。
技術屋として違和感を感じないとすれば、ちょっとヘンかもしれません。
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■市民フォーラム in 大阪のご案内です
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5月28日に大阪で日本応用地質学会環境地質研究部会のフォーラムが開催されま
す。太田も何か話します。

足下に隠れた災害リスクと防災-知って活かそう関西の地盤-
http://www.jseg.or.jp/02-committee/pdf/H28_forum.pdf

13:10 第1部 基調講演 【埋もれた近世都市の防災学】
京都大学防災研究所斜面災害研究センター長 釜井俊孝氏

14:20 第 2 部 話題提供
【関西の表層地盤と災害】 (財)地域地盤環境研究所 北田奈緒子氏
【暮らしに直結する住まいの防災】 (有)太田ジオリサーチ 太田英将氏
【関西のジオブランド】 環境地質研究部会 堀信雄氏
【ジオ・メリットとしての関西の地酒と地質の話】 環境地質研究部会 舩山淳氏
・高木俊男氏

16:00 第 3 部 パネルディスカッション
【テーマ】 足下に隠れた災害リスクと防災
【コーディネーター】 釜井俊孝氏
【パネリスト】 北田奈緒子氏 太田英将氏 堀信雄氏 舩山淳氏 高木俊男氏 山本
晃氏
(編集後記)
「この斜面は安全か危険か教えて」「この宅地は安全か危険か教えて」というの
が、コンサルに対する正統な質問です。これにコンサルが応えられるようなこと
をしているでしょうか?ここ数年は、そんなことばかりを考えています。斜面点
検正答率はたったの2~3割、滑動崩落の事前評価で危険個所ゼロ件なのに、震度
6以上の地震のたびに約半数の盛土は滑動崩落を起こす。実現象のたびに「哀悼の
意を表します」と形ばかりのコメントをしています。医者が患者に「なんでワシ
の言うことを聞いて治療しなかったんだ!」と怒るのと同様に、「なんでワシが
言うとおりに対策しなかったんだ!」というのが本来の技術屋の役割だと思います。
今のようなことをやっていたら、コンサルは社会に必要なくなると思ってしまう
のですが杞憂でしょうか。(H.O)