太田ジオメールマガジン[220]~豊洲は「衝撃!」ではない、の巻~

豊洲地下水汚染検出は、衝撃でも何でもなく、当たり前のことが起きただけです。

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━ Vol.220 ━ 2017.1.18━

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┃★豊洲地下水 衝撃の基準超え、について
┃  報道では「衝撃の基準超え!」や、データの捏造疑惑が報じられています
┃  が、EVS解析結果をみると、当たり前のことが起きているに過ぎません。
┃★土層強度検査棒研究会の発足と正会員募集案内
┃  土砂災害の80%を占める表層崩壊問題を解決するためには、実測による合
┃  理的な方法論が必要です。土検棒を使えば景色が変わります。
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毎日のブログ     http://blog.livedoor.jp/ohta_geo/
会社のホームページがスマホ対応になりました。http://www.ohta-geo.co.jp

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■豊洲地下水 衝撃の基準超え、について
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豊洲地下水の最終モニタリング調査で、いままで検出されなかった、あるいは検
出されてもほんのちょっとだった有害物質が、かなりの地点、かなりの量で検出
されたことがショッキングな話として報道されています。

当社は、東京都が公開している資料だけを用いて、EVSで「浄化前の」汚染物質
の濃度分布を推定していました。この情報から見る限り、今回の検出は全く衝撃
でも何でもなく、当たり前のことが起きたに過ぎないと考えています。

The Environmental Visualization System (EVS-Pro)
http://www.ctech.com/products/mvsevs-product-suite/evs-pro/

今回のようになった根本原因は、土対法の調査方法があくまでも人の健康被害防
止のためのものであり、浄化に適したものではないことです。浄化のためには、
浄化のための別の方法論を活用すべきだったのです。

当社がEVSを導入して15年以上経ちます。当社の利用方法は、地質の3次元モデル
を作成することでしたが、もともとEVSは土壌・地下水汚染を解析し、効率的・
合理的な浄化計画をたてるためのソフトでした。

EVSは、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)で活用されていると宣伝されていまし
たので信頼し購入しました。その当時、日本の土壌地下水汚染技術はアメリカか
ら20年遅れていると言われていました。いまでは35年遅れているということにな
るかもしれません。

アメリカでは地下水を飲料用につかっていたので問題が深刻だったこともありま
す。ジュリア・ロバーツ主演の映画「エリン・ブロコビッチ」にも描かれていま
す。

日本では、今でも「汚染あり・汚染なし」の二値的評価法を用い、汚染プリュー
ムの3次元的広がりをあまり推定していないようです。それが今回の豊洲問題の
遠因です。3次元的広がりを表示してみると、浄化していないグリッドにも汚染
物質が存在する可能性が高いことがわかります。残存汚染物質が残っているので
す。

浄化するなら、規定以上の汚染物質が存在する箇所全部を浄化する計画にしなけ
ればなりません。法律が便宜的に決めたグリッドに、自然は従ってくれません。

Toyosu Latest pollution DATA(170117)

豊洲の浄化グリッドは、地表と地下水に汚染が認められなかった(基準以下だっ
た)箇所を除外しています。地下水調査では基準以下だったが、グリッド内に残
存していた汚染物質が、昨年10月からの揚水に伴う地下水流動によって、モニタ
リング井戸のある箇所に移動したと考えられます。

詳しい情報は、有限会社太田ジオリサーチのFACEBOOKと、下記の特設ページで解
説しています。

豊洲市場土壌地下水汚染特設ページ
http://www.ohta-geo.net/toyosu_page.html

太田ジオのフェイスブック
https://www.facebook.com/ohta.geo/

残存汚染物質の移動が原因なので、今後も薄まりながら移動します。まだ汚染な
しとなっているモニタリング井戸の地点にも今後到達してくると思われ、調査を
継続するならば、検出箇所は増えると思います。将来的には、汚染物質は、揚水
井戸の場所まで到達して除去されますが、ひょっとすると長い時間が必要かもし
れません(それは解析していません)。

土対法では、汚染は浄化しなくても「封じ込め」で良いことになっています。今
後の解決は、科学というより政治決着的な話なので、全く予想できません。
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■土層強度検査棒研究会の発足と正会員募集案内
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昭和30年代からほとんどかわることのなかった表層崩壊への対応方法が、土検棒
によって180度かわる可能性があります(当社は確信をもって言えます)。表層
崩壊問題を解決できれば、土砂災害の80%が解決されることになります。

「土層強度検査棒研究会」の正会員を募集します(土木研究所)
https://www.pwri.go.jp/team/tishitsu/dokenbo_kobo.htm
国立研究開発法人土木研究所は、「土層強度検査棒研究会」を設立します.これ
に先立ち、本会の目的および事業に賛同していただける法人等からなる正会員を
募集します.

<正会員の条件>
正会員は、本技術の現場適用や理論等に関する調査・研究実績、または土層強度
検査棒の販売権を有し、本会の趣旨に賛同する法人等を対象とします.

<募集期間>
平成29年1月31日(火)(当日消印有効)を締め切り日として正会員を募集し、
第1回総会を開催します.その後は、随時募集する予定です.
(編集後記)
豊洲の地下水汚染に関する問題は、専門家であれば問題の本質は難しくないと思
います。それにも関わらず、報道では”専門家会議の委員からは「なかなか見ら
れない現象」「初めての経験」「あまりにもショッキング」と驚きの声が続いた。”
と書かれています。その理由こそがミステリーです。大人の事情があるように妄
想するのですが、これはEVS解析でも解明できません。
もう一つの話題。土検棒を使った新しい理屈で、「この斜面は安全なのか危険な
のか評価してくれ」という仕事を2年前からしています。専門家のわかったよう
なわからないような話ではなく、実測に基づく合理