対策工計算の流れ(計算例;確定論的手法→確率論的手法はこちら)
耐震補強設計する対象の擁壁 | |
安定計算の流れ (1)地盤定数の推定 (2)大地震が起きたときの安全率の推定 (3)せん断破壊モード(小変位) (4)引き抜き抵抗モード(大変位) |
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(1)地盤定数の推定 現状では若干の擁壁変状があるものの壊れてはいないので非地震時条件でFs≒1.0となるように逆算し、盛土の地盤定数を得る地下水はないので考慮しない。ブロック積み擁壁背面のコンクリートは不十分なので考慮しない。その結果以下の値を得る。 Unit Weight: 18 kN/m3(単位重量) Cohesion: 7 kPa(粘着力) Friction Angle: 30 degrees(内部摩擦角) Water Surface: None(地下水なし) |
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(2)大地震が起きたときの安全率の推定 大地震の震動を静的荷重に置き換え、水平震度kh=0.25を与える。そのとき、最小安全率Fsmin=0.81となり、約20%の安全率低下が予測され、擁壁崩壊の恐れがあるので対策工を検討する。 |
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(3)せん断破壊モード(小変位) 地震のような瞬間的な外力に対して、排水補強パイプがどのような挙動を示すのか確かめられてはいない。変位量の少ない状態ではせん断強度で抵抗すると考えて安定計算すると、最小安全率Fsmin=1.26となり、Fs>1.0となるため擁壁は破壊しないと推定される。 |
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(4)引き抜き抵抗モード(大変位) 変位量が大きくなるとパイプ外周面の引き抜き抵抗で崩壊に対して抵抗するようになる可能性がある。その条件で安定計算すると、最小安全率Fsmin=1.025となり、現状非地震時での安全率とほぼ同等となる。このため、擁壁の崩壊は免れるものと推定される。 |
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<計算ツール> この計算は、SLIDE 5.0を用いて行っています。変位量に着目するのであればPhase2(6.0)でせん断強度低減法(SSR)を用いて同様に計算できます。(SlideのデータをPhase2に変換できます。これにより変位量を小さくする配置を計画することができます。ただし単純モデルを用いた計算上の変位量の正確さは疑わしく数字の遊びになってしまいますので、通常はそこまでする必要はありません。) |
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対策工の設計諸元は以下の通りです。Slide5.0ではサポート材諸元(support properties)を複数登録することができます。この例では、諸値のばらつきを考慮しない確定論的手法を用いています。確率論的手法はこちらに示します。 <Loading>Seismic Load Coefficient (Horizontal): 0.25・・・大地震 kh=0.25 <Support Properties>Support: M-pile・・・(3)のせん断破壊モード Support Type: Micro-Pile・・・せん断補強材(マイクロパイル) Force Application: Passive※1 Out-of-Plane Spacing: 1.8 m・・・横方向の打設間隔 Pile Shear Strength: 31.8 kN・・・せん断応力(断面積×許容せん断応力度;この値は長期強度ですが、5割り増しの短期強度を用いることもできます) <Support Properties>Support: PDR1800・・・(4)の引き抜き抵抗モード Support Type: Soil Nail・・・ソイルネイリング Force Application: Passive※1 Out-of-Plane Spacing: 1.8 m・・・横方向の打設間隔 Tensile Capacity: 100 kN・・・引抜試験結果より Plate Capacity: 18 kN・・・受圧板の効果 Bond Strength: 4.9 kN/m・・・周面摩擦力(N値=5の場合;これは打設直後の極限摩擦強度ですが、日数を経過すると土と鋼管が密着して非常に大きな摩擦力となることが経験的にわかっています) |
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※1)初期緊張力を作用させた対策工(たとえばグラウンドアンカー工)は、Activeとし、滑動力(driving force)から接線力成分を引く、一方初期緊張力を作用させない対策工(鉄筋補強土工など)では接線力を抵抗力に加える形として安全率を計算する。(ただし、日本の公共事業設計規格においては、初期緊張力があってもActiveの計算式(1)は用いられず、Passiveの計算式(2)が慣例的に用いられています) | |
■地震時に造成地盤に起きること(写真集) ■中越地震で起きたこと(写真集) |
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※当工法は資材・工法ともに知的財産権で保護されています。ただし、施工に関しては制約をかけておりませんので、どの工務店さんでも「恒久排水補強パイプ」を用いて施工することができます。コンサルタントや建築士さんがこの工法を設計されることに関しても制約はありません。 |