地盤工学における数値解析のいろいろ
(1)地質リスクの定量化
 地質調査とは極論すれば、その目的に応じて、「どこに、どういう調査を、どのくらい行い、その結果から次にどの程度の追加調査を提案するか」ということに尽きます。それを依頼者に説明するためには、専門家の思考と言葉を、「数値」という共通言語に翻訳し、「通貨単位」という経済活動における価値観で判断できるようにする必要があります。
このために必要な技術が「地質リスクの定量化」です。MVS(Mining Visualization System)は、資源開発や土壌・地下水汚染等の効率的推進のため、現場で得られたデータから「不確実度」という確率を算出し、必要な精度まで高める為に必要な最適な調査ポイントを導き出します。
(2)落石
 数ある数値解析の中で、落石運動に関する解析は最も「答えがない」ものです。正しい解を見つけることは不可能なので「確率的」に論じるという手法が用いられます。また、重力と地形の起伏により落石経路にも不確実さが伴います。解析手順としては、MVSを用いて、想定される発生源から重力のみで落下する経路を複数計算し、その中から事業目的に影響を与える可能性のある経路について、2次元的な確率解析を行います。
(3)FEM解析
 土構造物の詳細な構造や物性値がわかる場合には、数値解析は効果的な問題解決手法となります。例えば、浸透流解析によって地下水の状態を計算し、その際の滑りの形状と安全率をせん断強度低減法によって算出できます。しかし、多くの場合、詳細な構造や物性値を把握することは不可能で、「単純モデル」と「想定値」が解析結果に大きな影響を与えます。このため、解析目的を熟知して、その一点の解析精度・リスク評価に絞る必要があり、そのためには解析手法や解析ソフトの種類ではなく、技術者の熟練度が最も影響力を持ちます。
(4)3次元安定解析
 斜面上を土や岩盤が滑り落ちる際には、「非常に滑りやすい面(すべり面)」と「土塊を斜面上に留めようとする引っかかり」の両者の力を考慮する必要があります。例えば、どこかの一点で支えられている滑り土塊は、その一点の切土が致命傷になります。従来の平均すべり面強度で計算された地すべり土塊のバランス解析では、こういった事故を避けることができません。
当社の3次元安定解析は、土塊抵抗力の相対的バランス関係を把握できますので、地形改変時の事故防止に役立ちます。また、実際の3次元構造をモデルに用いますので、すべり面残留強度、側部摩擦強度、末端部抜け上がり時のせん断強度などの土質試験結果をそのまま適用して、「順算」によって安全率を計算できるものです
  
MVS(Mining Visualization System)/EVS(Environmental Visualization System)
 
5-1.土壌汚染の3次元表示

 土壌・地下水汚染は人為的なものであるため、その分布を地質学のルールで推定することが困難です。しかし、地層の構造に沿って拡散することも事実ですので、自然が作り上げた規則のある構造と人間が作った規則のわかりにくい構造の2つを同時に考える必要があります。これを実現するためには、従来の2次元的データ整理手法では不可能です。MVS/EVSは、3次元可視化(データの時系列変化も加えれば4次元可視化)を行うためのソフトウエアです。
 
 
5-2.地質の3次元化

 「地質」には、大きな区分として地層単位の構造(層序)と、工学的強度による構造(岩級)があります。それらは数値で定量化することが困難な離散型データ(A層・B層、CH・CL・Dなど)ですから、そういった種類のデータを統計的に処理できる手法が必要です。MVS/EVSにはそのアルゴリズムが組み込まれています。
 

5-3.シミュレーション
 MVS/EVSは重力等による、面上の物体移動についてのシミュレーション機能があります。このため落石などの経路を解析することができます。また、他の解析ソフトウエアで計算された結果を3次元表示します(コンバータが別途必要になる場合があります)。
 
MVSは、無制限のMVSライセンスが提供されるプレミアプログラムが断然お得です

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