太田ジオメールマガジン[218]~土壌汚染の意思決定には3D可視化が最適、の巻~

EVSで地層と汚染を同時に表示させるとさらにわかりやすくなります

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━ Vol.218 ━ 2016.10.7━

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┃★続・豊洲のベンゼン汚染の3次元可視化(地層付き)
┃  地層の情報を追加してみました。テレビでは東京都の意思決定の責任問題
┃  をやっていますが、意思決定の前には、それが容易になるようなデータの
┃  表示方法も重要です。わかりにくい表示だと判断が難しくなります。
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■続・豊洲のベンゼン汚染の3次元可視化(地層付き)
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東京都が公開した情報の中には、ボーリング調査データもあります。

土壌・地下水汚染は遮水層(粘土層)で止まると一般に考えられています。豊洲
では、この粘土層がある場所と、ない場所があるようです。

当社に6月に入社した川浪君は、前の職場では土壌・地下水汚染を専門にやって
いましたので、この3D表示を紐解いてもらいました。なお、このデータは浄化前
の状態のものです。マスコミ等で取り上げられている話は、浄化後の意思決定等
の話ですので、お間違いなきようお願いいたします。

Toyosu Contaminant and Impermeable Layer

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豊洲の浅部の地質は、おおざっぱに分けると埋土層(Hg:礫層主体、Hs:砂層主
体、Hc:粘性土主体)と有楽町層(Yc:沖積の粘土層)に区分されています。

モデルには粘性土を主体とする埋土層(Hc層:青色の地層)とベンゼンの汚染プ
リュームを示していますが、両者の関係に着目してみると、6街区の卸売市場の
地下に分布する汚染プリュームの下部には、Hc層が分布しており、深部への汚染
の広がりはわずかであることがわかります。

一方で、5街区の青果市場にはHc層が分布しておらず(砂層主体)、6街区に比べ
て深部まで汚染が広がっています。

豊洲市場全体の埋土層の下部には、難透水層として十分な層厚を持つ有楽町層が
分布していますが、5街区の汚染は有楽町層の深部まで広がっているのも注目す
べき点です。柱状図を見ると5街区付近の有楽町層は、モンケンが自沈するほど
非常に柔らかい粘土ですので、液性限界を超えたズブズブの液体状なのかもしれ
ません。そうであれば、汚染がより深部まで拡散したとしても不思議ではないの
かもしれません。
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(編集後記)
「意思決定」は、管理者あるいは経営者が行うべきものです。コンサルタントは
その意思決定が容易になるようにデータを提供することにあります。土壌汚染の
ような人為的で自然の法則が使いにくいものは計測データを3次元可視化すると、
ようやくその全容が素人の方にもわかるようになります。当社としては、いまの
マスコミが問題視しているような議論よりも、どのような資料がコンサルタント
から東京都に提示されたのかのほうが興味あります。斜面問題などでも実は同様
です。対策をするかどうかは管理者の防災投資に対する意思決定なので、自然現
象に絶対的なものがない以上、確率的情報を提供するのが最も合理的だと考えて
います。ネガティブな話は「保険」的な評価法が適しています。(H.O)